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HCP 伝統カカオ保護基金

HCP

2008年に発表されたモタメイヤーらの研究  01)Juan C. Motamayor, Philippe Lachenaud, et al. (2008).  Geographic and genetic population differentiation of the amazonian chocolate tree (theobroma cacao L) は、アマゾンの限られた地域の試料による結果で、今後野生のカカオから新たな遺伝子型が発見されるだろうというのが多くの研究者の見解でした。

そして現実にカカオの分類の研究が進み、さらに多くの原種が発見されています。そこで、2011年、米国農務省(USDA)ファインチョコレート産業組合(The Fine Chocolate Industry Association)によって、カカオの優れた原種を識別して保護するための団体HCP(Heirloom Cacao Preservation Fund)が作られました。

HCP登録原種

HCPには、伝統カカオと呼ばれる希少な原種を保持する団体が登録されています 02)エアルーム・カカオについては、まだ和訳が定まっておらず、日本語サイトでは直訳的に遺跡カカオ、家宝カカオなどと訳され、未だばらつきがあります。このサイトでは、果菜園芸学において Heirloom の訳として使われる「伝統」を用いました

  1. Alto Beni, Bolivia
  2. Tranquilidad Estate, Bolivia
  3. Hacienda Limon, Los Rios, Ecuador
  4. Hawaii Agriculture Research Center
  5. Cooperativa Nueva Esperanza, Ecuador
  6. Terciopelo, Coto Brus, Costa Rica
  7. Maya Mountain Cacao Ltd. Farmer Network
  8. Municipios de La Dalia, El Cua, Nicaragua
  9. Piedra de Plata, Ecuador
  10. APOVINCES, Ecuador
  11. BFREE Demonstration Cacao Farm, Belize
  12. San Jose de Bocay, Nicaragua
  13. Pham Thanh Cong, Mekong Delta, Vietnam
  14. Tujikomboe Farmers Group, Tanzania
  15. Akesson’s Bejofo Estate, Madagascar

注釈   [ + ]

01. Juan C. Motamayor, Philippe Lachenaud, et al. (2008).  Geographic and genetic population differentiation of the amazonian chocolate tree (theobroma cacao L)
02. エアルーム・カカオについては、まだ和訳が定まっておらず、日本語サイトでは直訳的に遺跡カカオ、家宝カカオなどと訳され、未だばらつきがあります。このサイトでは、果菜園芸学において Heirloom の訳として使われる「伝統」を用いました

ビーントゥバー(Bean to bar)とは

ビーントゥバー、ビーントゥーバー(Bean to bar)とは、カカオ豆がチョコレートになるまでの工程を一貫して行う製造方法のことです。

出来上がったチョコレートをクーベルチュールと呼びます。

巨大製菓メーカーはカカオ豆から一貫して原料チョコレートとしてのクーベルチュールを作り、それを各種製品に仕上げますが、ほんの以前まで、小規模なチョコレート製造の現場では、クーベルチュールを製造する会社から原料となるチョコレートを買って、それを加工して製品を作っていました。カカオ豆から手がけるほどの拘りをみせるショコラティエはほんの一握りでした。ショコラティエは、多くのクーベルチュールから、自分の好みにあう味を探し、それをアレンジしてタブレットなりボンボンショコラなりを生み出していたわけです。

カカオ本来の味を追求してタブレットを主体に扱っていたブランドは、ボナ、ドモーリ、アメディ、ヴァローナなど以前からありましたが、それが俄然注目浴びるようになったのは、日本ではサロン・デュ・ショコラ2015あたりからでした。その翌年には、ビーントゥバーという言葉が盛んに飛び交うようになり、日本各地にビーントゥバーの工房が作られ、チョコレートを作る工程が店内で見学できるようなショップも現れました。2017年現在、すっかりチョコレート用語として定着しました。手作り感を謳ったタブレット作りをするため、クラフトチョコレートとも呼ばれます。

今振り返れば、明治が京橋に100%チョコレートカフェを2004年にオープンさせたのが、日本でのブームの先がけだったようにも思います。そして、2014年発売開始の明治ザ・チョコレートの快進撃は皆様ご存知の通りです。

差別化を図るブランドでは、畑から手がけるファームトゥバー(Farm to bar)、遺伝子保存の意味を込めてカカオの木から手がけるツリートゥバー(Tree to bar)、持続性のあるカカオ生産体制まで手がけるヒューマン トゥ バー(Human to bar)等も使われます。

I.C.A. インターナショナル・カカオ・アワード

インターナショナル・ココア・アワードは、ココアオブエクセレンス(Cocoa of Excellence)が母体となって創設したもので、世界中のカカオの多様性及び品質のとの卓越性を総合的に評価することを目的とした「カカオ・オブ・エクセレンス」プログラムの一環として開催されているものです。パリで開かれるサロン・ドゥ・ショコラで受賞式が行われます。
I.C.A. インターナショナル・カカオ・アワード
その目的は、カカオの供給元と生産者と事業者間の連携を促進し、高品質のカカオの遺伝的多様性、生産するその技術、テロワール(豆の成育環境)を称えることでカカオの供給元と生産者の意識を高め、高品質のカカオによる味の多様性を広く知らしめ、カカオ生産国に多様性あるカカオの発見と保存を奨励するようにと定められています。

チョコレートの製造過程は標準化され、審査はカカオ豆の品質に焦点が当てられています。2015年の審査では、世界35ヶ国から146試料が提出されました。その中から50試料がカカオ分68.1%のチョコレートに加工されて、26人の専門家が官能評価しました。

2015年のI.C.A.受賞カカオ(The 17 International Cocoa Awards for 2015)は以下のとおり

    アフリカ地域

  • コートジボワール PIHI Lambert
  • コートジボワール KOUASSI Agahonou Juliette
  • ガーナ Abubakari Alidu
  • トーゴ AKAKPO Mamah
    アジア・太平洋地域

  • ハワイ Waialua Estate Cacao
  • インドネシア Hengkilianto, The President Director of PT Timor Mitra Niaga
  • パプアニューギニア Lower Watut Cooperative – Wals Cocoa Co-operatire, Fermentary Number LBA 332
  • ソロモン諸島 David Junior Kebu
    中央アメリカ・カリブ海地域

  • ホンジュラス Fundación Hondureña de Investigación Agrícola (FHIA)
  • ニカラグア ngemann Fine Cocoa S.A.
  • トリニダード・トバゴ La Reunion Estate
  • トリニダード・トバゴ San Juan Estate
    南アメリカ地域

  • ボリビア Asociacio de Productores de Carmen del Emero
  • ボリビア Angel Tapia
  • コロンビア Alianza Exportadora Tumaco, Conformada por las organizaciones – CORPOTEVA, CORTEPAZ, Consejo Comunitario Bajo Mira y Frontera
  • エクアドル Ing. Alicia Encalada Villacis.
  • エクアドル Asociacion Agricola La Fortaleza

M.O.F. フランス国家最優秀職人

M.O.F.とはフランス国家最優秀職人(Meilleur Ouvrier de France)の称号のことです。
M.O.F. フランス国家最優秀職人

フランス労働省主催で1923年に始まり、3年に一度各業種ごとにコンクールが行われ、大統領官邸で授与式が行われます。伝統工芸から建築技術まで様々な分野の職人が腕を競い、受賞すると社会的にも大変高い評価を得ることができます。日本人としては1972年に初めて辻静雄氏 (辻調理師学校創設者) がM.O.F.名誉賞を受けています。製菓部門では美ノ谷靖夫氏(ラ.ベルファム)が賛助会員として受賞されています。
M.O.F.を授与されたシェフは襟にトリコロールカラーの飾りをつけることがあります。

M.O.F.はよく日本の人間国宝(重要無形文化財保持者)に相当すると例えられます。
M.O.F.の認定は、分野は多岐にわたり、その分野の専門家からの推薦を受けた応募者が論文や課題の提出による選考を経て、最後コンクールで競って決まります。食品部門だけでも菓子、パン、チョコレート、アイスクリーム、チーズ、ワイン等多岐に渡ります。
一方、人間国宝の認定は、文化庁が認めた後世に残すにふさわしい専門分野(芸能や工芸技術の一部)で第一人者と認められて世間から高い評価を得ている人や団体とされていますので、やや趣旨が違うかもしれません。

チョコレート部門のM.O.F.受賞者

    1993年

  • Jean-François Castagné
  • André Rosset
  • Serge Granger

 

製菓部門のM.O.F.受賞者

    1982年

  • Allex Michel
  • Bellanger Jacques
  • Bertin Gérard
  • Boucher André
  • Ceva Charles
  • Cherix Hugues
  • Escobar Albert
  • Grollet Jean
  • Langevin Jean-François
    1986年

  • Jean-Paul Hévin
  • Blot Michel
  • Collet Paul
  • Gay Jean-Philippe
  • Monne Guy
  • Patouillard Joël
  • Torres Jacques
  • Villedieu Claude
    1991年

  • Pascal Caffet
  • Berger Patrick
  • Billet Serge
  • Etienvre Jean-Pierre
  • Lallement Lionel
  • Parc Philippe
  • Pastorelli Bruno
  • Saguez Eric
  • Segond Philippe
  • Viollet Michel
    1994年

  • Bajard Olivier
  • Canestrier Jean-Claude
  • Chatelain Philippe
  • Chenevrier Norbert
  • Chevallot Patrick
  • Duchene Laurent
  • Gautheron Gérard
  • Larnicol Georges
  • Mendi Nasserdine
  • Perruchon Jean-Michel
  • Rolancy Alain
  • Urraca Philippe
  • Vannier Norbert
    1997年

  • Laurent Le Daniel
  • Maury Jean-Philippe
    2000年

  • Jean-François Arnaud
  • Boussin Nicolas
  • Glacier Stéphane
  • Molines Pascal
    2004年

  • Franck Fresson
  • Nicolas Bernardé
  • Sébastien Annone
  • Stéphane Leroux
  • Michel Franck
  • MONTCOUDIOL Bruno
  • TREAND Stéphane / USA
    2007年

  • David CAPY (Valrhona)
  • Arnaud LARHER
  • Angelo MUSA (Pâtisserie CAFFET à TROYES)
  • Christophe RHEDON (LENOTRE)
  • Philippe RIGOLLOT (Restaurant PIC à VALENCE)
    2011年

  • Yann Brys
  • Thierry Bamas
  • Guillaume Mabilleau