植物油脂

チョコレートに添加する植物油脂はココアバターと良く似た構造を持つシス脂やサル脂などです。

シス脂(シアバター)は中央アフリカを主な栽培地域とする「シア」の木のナッツから搾取された、バターのようなオイルです。35-45度で溶けるので、手のひらにとって、やわらかくのばして使います。。約50%のオレイン酸、約40%のステアリン酸、その他、パルミチン酸、リノール酸、各ビタミン類などが含まれています。トリテルペンアルコールというワックス成分が多いことが特徴です。ロクシタンのシアバターを愛用していますが、非常に伸びが良く保湿性が高いので、使い勝手が良いですね。

シアの木

シアの木
シアの実
シアのナッツ

サル脂(サルバター)もシア脂と同じくスキンクリームや石鹸に良く使われます。サル樹木(Shorea Robusta;別名、沙羅双樹)のナッツから精製し、約50%のステアリン酸、約40%のオレイン酸、その他、パルミチン酸、リノール酸、各ビタミン類などが含まれています。紫外線から肌を守る効果もあるらしいです。

ところで、植物油脂は体に悪いと言われますが、それはトランス脂肪酸が多く含まれるから。
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールの量を上昇させ、高脂血症などの循環器系の病気の原因になると言われています。また、飽和脂肪酸(主に動物性脂肪)の過剰摂取は生活習慣病の発生要因。取りすぎは禁物です。

これらが上記シア脂やサル脂に含まれるかと言うと、主成分のオレイン酸はシス型不飽和脂肪酸ですから体に良いといわれるオイルです。一方、ステアリン酸は飽和脂肪酸ですから過剰摂取はダメ。ちなみに、パルチミン酸は飽和脂肪酸、リノール酸はシス型不飽和脂肪酸です。

少なくとも、チョコレートについては、トランス脂肪酸の心配はなさそうですね。

そもそも、ココアバターの成分はオレイン酸が約36%、パルミチン酸が約30%、ステアリン酸が約35%らしいですので、それがシア脂やサル脂に代わっても、健康的な影響は変わらないということです。

さて、植物油脂はチョコレート の分類と大きく関わりがあります。

日本を始めアジア各国のチョコレートは欧米のものと比べて植物油脂を多く含みます。コストの話もあるかと思いますが、ココアバターよりも融点の高い植物油脂を加えることで、加工性や舌触り、夏場の保存性を高める目的があると言われています。

外国産のオーガニックやフェアトレードチョコレートが夏場出回らないのは、溶けちゃうからなんですね。

しかし、伝統ののチョコレートを愛するオランダ、ベルギー、スイスなどが、植物油脂を含むものはチョコレートと呼べないと主張したことがあります。日本はもちろん強固に反対しましたが、2003年チョコレートの国際規格(コーデックス規格)は植物油脂を5%を限界として含むものもチョコレートと呼べることに決定しました(※1)。

The addition of vegetable fats other than cocoa butter shall not exceed 5% of the finished product, after deduction of the total weight of any other added edible foodstuffs, without reducing the minimum contents of cocoa materials.

カカオバター以外の植物性油脂の追加は、ココアバターの最小含有量を減量せずに、他に添加した材料を差し引いた後の完成品重量の5%を超過しないものとします。

ベルギーのメーカーはこの決定が許せなかったのか、「我々のチョコレートが本物」とピュアココアバター推進運動を行ったため、ベルギーチョコレートは世界的に有名になったらしいです。

良い機会になので日本のチョコレート分類について調べてみました。
まず、全国チョコレート業公正取引協議会の分類によるとチョコレート類は8種類に分かれます。

1. チョコレート:チョコレート生地のみ、チョコレート生地が全体の60%以上のチョコレート加工品

2. 準チョコレート:準チョコレート生地のみ、準チョコレート生地が全体の60%以上のチョコレート加工品

3. チョコレート菓子:チョコレート生地が全重量の60%未満にチョコレート加工品

4. 準チョコレート菓子:準チョコレート生地が全重量の60%未満のチョコレート加工品

5. カカオマス:カカオニブ(カカオビーンズからシェルを技術的に可能な限り除いたもの)を、そのまま機械的方法により磨砕したもの(アルカリ処理等をしたものを含む)

6. ココアバター:カカオビーンズ、カカオニブ又はカカオマスから得られた油脂で、シェル又はジャームの脂肪分を天然に含んでいる量以上に含まないもの

7. ココアケーキ:カカオニブ又はカカオマスから機械的方法等により、脂肪分の一部を除いたもの

8. ココアパウダー:狭義のココアパウダーは、ココアケーキを粉砕したものでココアバターが全重量の8パーセント以上あり水分が全重量の7パーセント以下の、バニラ系の香料以外のものを含まないもの。ココアバターが8パーセントに満たないものは脱脂ココアパウダーと呼ばれる。広義のココアパウダーには、ココアパウダー、脱脂ココアパウダーに、バニラ系以外の香料、香辛料、ビタミン、ミネラル等を3パーセント未満加えたものも含まれる。

9. 調整ココアパウダー:ココアパウダーに糖類だけを加えたものでは、ココアパウダーが全重量の32パーセント以上、水分が全重量の7パーセント以下のもの。ココアパウダーに乳製品又は糖類以外の他の可食物を加えたものでは、ココアパウダーが全重量の20パーセント以上、水分が全重量の7パーセント以下のもの。 ココアパウダーに糖類及び乳製品又は他の可食物を加えたものでは、ココアパウダーが全重量の10パーセント以上、水分が全重量の7パーセント以下のもの

さらに、チョコレート生地と準チョコレート生地は、以下の基準が適合されます。

チョコレート生地
準チョコレート生地
基本
カカオ分の代わりに
乳製品を使用
基本
カカオ分
35%≦
21%≦
15%≦
(うちココアバター)
(18%≦)
(18%≦)
(3%≦)
脂肪分
18%≦
乳固形分
任意
カカオ分とあわせて35%≦
任意
(うち乳脂肪)
(任意)
(3%≦)
(任意)
水分
3%≧
3%≧
3%≧

日本のチョコレートは原材料名だけを見てもココアバターの量がわかりません。しかし、原材料名は含有量が多い順に表記することになっていますので、ココアバターが前の方に書かれているものは、よりチョコレートらしい味わいがあるということになります。

※1:CODEX STANDARD FOR CHOCOLATE AND CHOCOLATE PRODUCTS
※2:チョコレート類の表示に関する公正競争規約(pdf)

グラスショコラアソートL

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植物油脂」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: Love Choco - 森永製菓;醤油スイーツチョコレート

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