チョコレート・テイスティング

勝手に食べておいしければいいんじゃないかと、そのようにも思いますが、駄菓子ならともかくも何度も試すには懐が痛いチョコレートもあるので、一度食べたらその味をしっかり味わって覚えておきたい。でも、官能評価をするほどの知識も味覚もないので、ここでちょっとお勉強がてらチョコレートのテイスティングについて調べました。こちらにまとめておきます。

参考にしたのはチョコレート鑑定家クロエ ドゥートレ ルーセルさんの「チョコレート鑑定(pdfファイル、”The Chocolate Connoisseur”)やウェブ上で拾った記事(文末に参考として示しました)です。いくつかの科学的でないものは無視しましたし、もっと合理的な選択があればそれを加えました。

チョコレート・テイスティングのやり方
【はじめに】
まず、一回のテイスティングで試すのは4個ぐらいが適当です。最大でも7個が限界でしょう。たくさん試しても、その違いを明確に理解するために何度もそれそれを口に運ぶ羽目になり味覚が混乱します。初めての人は市販のチョコレートとプレミアム・チョコレートの違いで植物油脂が入ることの食感の違いや、ミルクチョコレート、スイート・チョコレート、セミスイート・チョコレート、カカオブリュ(アンスイート・チョコレート)でカカオの風味の違いを感じることに徹してみてはどうでしょうか。基本の味を知ることで、次のテイスティングがもっと楽しくなるはずです。

テイスティングをするのに最も適した時間帯は午前中です。まだ味覚が汚れていないこと、室温が低めでチョコレートが溶けすぎないことが理由です。ただし、空腹なのは好ましくありません。軽い朝食の後、2時間以上おきましょう。その間に、タバコやコーヒーのような刺激の強い飲み物を取るなんて、問題外です。寒すぎるのもいけません。寒いと味覚は痺れるし、指の上でチョコレートが上手く溶けてくれないでしょう。何事もほどほどが一番です。

さらに、静かな環境が必要です。音楽、テレビ、道路の騒音、話好きな友達のようなBGMは、味覚を鈍らせます。Eメールのチェックも止めましょう。椅子に座り、眩しくない部屋で静かに味わいましょう。テイスティング中に会話はいりません。テイスティングが終わるまで、心に残ることは全てメモに残し、口の機能は全てチョコレートを味わうために使うべきです。

【テイスティングの準備】
味覚をリセットするためのものが必要です。常温の水や、塩味のないシンプルなクラッカー、食パン、野菜スティック、リンゴなどが適しています。瓶に常温の水を準備するのがいいでしょう。個人的には、楽に飲める(体温に程近い)ぬるま湯がお勧めです。そうすれば口の中が冷えず、次のチョコレートを含んだ時の溶け方に影響しません。水だけでは油が喉に残るので、時々パンのような固形物で舌や喉をぬぐった方が良いでしょう。

テイスティングするチョコレートをできるだけ同じ外見に整えます。食べやすさを考えると板チョコレートを数センチ角に割ったものが適当でしょう。味わうときにはグリーンピースぐらいのサイズが最適です。米粒サイズのものをつまむのは上品に見えるかもしれませんが味が過大評価されてしまいますので、注意しましょう。
テイスティング用のチョコレート

テイスティング用のマットを作ります。テイスティングマットを使うことで、メモする項目を忘れすにすむし、個々のチョコレートの違いも明確になります。フォーマットはウェブ上でダウンロードができますので、2つ紹介します。一つはALLCHOCOLATEで提供しているテイスティングマットで、ウィザードに従うと好みのテイスティングマットを自由に作ることが出来ます。もう一つはSavor Chocolateが提供しているプレイス・マット(pdf)です。シンプルですが、テイスティングの説明が詳細で便利です。

【テイスティング実践】
全ての感覚を使ってチョコレートを感じてください。
①目で観察
テクスチャーを観察しましょう。管理が悪くてブルーミングしていたりしませんか?エッジはしっかりしていますか(部屋の温度が高すぎるとテクスチャーが変化します。注意しましょう)?滑らかですか?光沢は?ロゴは?色は象牙色ですか?赤味がかっていますか?深い茶色ですか?色は指標にはなりません。カカオの種類、量、ミルクの量、その他多くの要因で色は変わります。

②手で観察
触れてください。柔らかいですか?固いですか?粘りますか?滑らかですか?ザラザラしていますか?テクスチャーが滑らかなほど口の中での舌触りがよくなります。

③耳で観察
チョコレートを真ん中で割って、その音を聞いてみましょう。乾いた音で割れましたか?鈍い音でしたか?高カカオの均質な板チョコレートは乾いた音を立てますし、ホワイトチョコレートはそれほど音を立てません。

④鼻で観察
テイスティングの半分は嗅覚によるものです。
嗅覚の使い方は二つあります。一つは外気を通じて感じる香り、もう一つは口に通じる鼻菅からの香りです。前者を使うには、まずチョコレートを指でこすります。芳香を捕らえるために両手のひらでカップを作り、その間にチョコレートを入れて握ってください。ゆっくり息を吸って嗅ぎます。強度、甘味、俗味を感じてください。これによってパッケージを開けた時の香りを再現できます。香りを記述するのは慣れるまでは難しいかもしれません。NIBBEガイドに香りを表現するためのディスクリプタ(記述子)がありますので、そういった語彙をつかって表現できないか試してみてください。
また、GUITTARD CHOCOLATEのテイスティング・ホイールも参考になるでしょう。

後者を試すには、チョコレートを口に入れなくてはいけません。⑤に続きます。

⑤口で観察
まず食感をみます。チョコレートが舌の上で体温と同じになるのを待ちましょう。口蓋に舌を押し付けて、その間でチョコレートを挟みます。歯を使うのは溶けやすくするために小さくするのに限ります。まだ味わってはいけません。カカオバターが口の中に均等に広がるのを待ち、舌をチョコレートが流れて喉に届くテクスチャーを観察します。滑らかでクリーム状ですか?脂濃くて粘りますか?さらさらしていますか?ざらつきがありますか?植物油脂の入ったチョコレートはべたつきます。

さて、いよいよ味わいましょう。
口の中から立上る芳香を嗅ぎましょう。香りは始めと後で変化します。持続力もみてください。鼻先での香りと異なりますか?バニラやローストの香りがしますか?風味のスピードはどうですか?早く消えますか?長く余韻を持ちますか?トップノートはフローラルですか?フルーティーですか?ハーバルですか?蜂蜜やブランデーと比べてください。それが落ち着くと香りは砂糖の甘味と相まってミドルノートで最高潮に達します。そしてラストノートに引き継がれます。プレミアム・チョコレートはラストノートが長く長く続きます。

何度か試した後は、噛んでもかまいません。鼻をつまんで味覚に神経を尖らせてください。甘味、苦味、酸味を感じてください。甘味は単純ではありません。過剰な砂糖は質の悪い豆に用いられます。焦げていたり、金属的だったり、他のものを全て覆い隠すほど甘いものもあります。甘味は目立ちますか?控えめですか?酸味や苦味はどうですか?不快ですか?苦味はグレープフルーツと比べてどうですか?痺れますか?酸味はフルーティーですか?ビネガーのようですか?時々塩味もあります。ナッツ入りのチョコレートやキャラメルフレーバーのものでは小さな塩の結晶がアクセントを添えます。鼻をつまんでいるのを離し、大きく息を吸って、違いを感じてください。味わい方にはいろんな方法があります。

【評価】
初心者は今までの経験に添って、何に似ているかを例えるところから始めてください。個々の味や香りを花や果物の種類に例えたり、以前に食べた銘柄と比較しても良いでしょう。とにかくメモを残しておいてください。後になって役に立ちます。

フレーバーを調べましょう。チョコレートの味そのものと同様にナッツやフルーツ等、なにが一緒に使われているのかで味は驚くほど変化します。ドライフルーツなのかフレッシュフルーツなのか、シトラス、コーヒー、ナッツ?

評価はバランスやその複雑さを評価します。各フレーバーの調和やバランスでどれを味わうかが決まります。チョコレートは良く知られている製品なだけに専門知識も幅広く、初心者には難しいかもしれません。しかし、継続的なテイスティングは楽しく、その楽しみが尽きることはないでしょう。とにかくテイスティングが上達したければ、チョコレートの産地の特徴、製造方法、チョコレートに関する専門用語を学びましょう。そうすれば、メモもより詳しくなり、味の分解もより細やかになるでしょう。

また、グループを作ってみんなで評価してみるのも楽しいかもしれません。

イギリスのホテル・ショコラでは、チョコレートのテイスティング会員を募っています(イギリス在住者に限る)。

ALLCHOCOLATEには、ジョン・シャーフェンバーガー(アメリカのワインとチョコレートの専門家)によるテイスティングのレッスンがあります。動画なのでわかりやすいです(英語ですが)。

(参考)
david Lebovitz:Chocolate Tasting
ALLCHOCOLATE:Introduction to Chocolate Tasting
THE NIBBLE:Tasting 101-Part 1: Bar None, Tasting 101-Part 2: How to Taste Chocolate
About.com:How To Taste Chocolate

ちなみにALLCHOCOLATEの方は、まるまま訳したのが大好きチョコレートにあります。

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チョコレート・テイスティング」への2件のフィードバック

  1. 飯田千恵

    本当に素晴らしい記事をありがとうございます。
    私はクロエ ドゥートレ ルーセルさんの著書、チョコレートバイブルに感銘を受け、チョコレートテイスティングをはじめました。しかし、最近、よりよく味わうためにはどうしたらいいのか、そもそもこのやり方はどこまであっているのか、と混乱してしまっていました。
    私は、将来チョコレートテイスティングの教室を開きたいと思っています。
    そのためにFaceBookにファンページを作りました。ぜひこの記事をリンクさせてください。
    これからも応援しています!

  2. lovechoco 投稿作成者

    リンクのご申し出をどうもありがとうございます。

    いろいろなチョコレートを食べ比べるのは楽しいですよね。
    テイスティングをやればやる程にチョコレートの世界の奥深さを知ることができ、その製品がどれほどまでに高度な技術を要して届けられているのかがわかると、その一口が貴重に思えます。

    いろいろやり方はあるかと思いますが、たぶん基本は同じだと思います。チョコレートでもワインでもチーズでも。
    静かな環境で、その人が持つ味の経験を使って、出来る限り詳細に味の特徴(香りの推移があれば、それも含めて)を記述すること。

    チョコレートのテイスティングの教室って面白そうですね。私もチョコレートの楽しみ方をより多くの方に知ってもらいたいという気持ちは一緒です。がんばってください。

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