川又一英;大正十五年の聖バレンタイン 日本でチョコレートをつくったV・F・モロゾフ物語

副題でわかるとおり、モロゾフ洋菓子店の創始者一族の物語です。

モロゾフ洋菓子店は、神戸を代表する洋菓子メーカーモロゾフ株式会社の母体となった店です。経営はロシアからの亡命したモロゾフ一家でしたが、その後、共同出資者との対立から裁判に破れ、チョコレート・キャンディーの製造販売権と一族の名前でもある「モロゾフ」の商標権を失います。

モロゾフ一家の長男ワレンティンの目線で、一族の亡命から神戸での開業、戦争によって失われた神戸の街、そして新たに高架下に掲げた「コスモポリタン製菓」が描かれます。

外国人として不利な裁判に立って負け、「この国には法がない」とアメリカ人弁護士に吐き捨てるように言われてたじろいだ父、そして「あなたは日本人じゃない、けど、外人でもない」と言われるようになったワレンティンの生涯が日本の高級チョコレートの歴史と共に綴られた興味深い一冊です。

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